このお正月にWOWOWで仁義なき戦い全シリーズが放送されました。一つしか観たことがなかったということもあって、全部録画して全部観ました。
過去に観たことがあった作品はシリーズ2作目のこちら。
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これ以外は全く観たことが無かったものですから、楽しみにしていました。
とはいえ持ってる知識が「広島のやくざ映画」程度だったので、ほぼ予備知識なしで観ることに。
仁義なき戦いは大きく分けて4つに分類できると思います。
分類1つ目は、菅原文太氏の最初のシリーズ。
仁義なき戦い
仁義なき戦い 広島死闘編
仁義なき戦い 代理戦争
仁義なき戦い 頂上作戦
仁義なき戦い 完結編
これら5作品は全て繋がっており、一つの物語になっています。
すべて主人公は菅原文太演じる広能昌三。曲がったことが嫌いな、タイトル通り仁義を通すカッコいい男なんです。
二作目の「広島死闘編」はややスピンオフ的な内容で、物語の主人公が北大路欣也に変わってます。初めて観たのがこの「広島死闘編」だったから、意外と文太兄さんは出てこない映画なんだなぁと長年思っていました。
第一部撮影中に第二部の公開が決定されたが、週刊サンケイでの連載が追いつかなかったため、脚本を担当した笠原和夫は、第一部と重なる1950年(昭和25年) – 1953年(昭和28年)の第一次広島抗争を舞台に、実在した二人のヤクザである山上光治(劇中:山中正治)と村上正明(劇中:大友勝利)をモデルにして、彼らにフォーカスした内容を執筆した。
だそうです。
の最初のシリーズには、松方弘樹・梅宮辰夫・小林旭・山城新伍・川谷拓三など、やくざ映画と聞けば出てくる役者さんが数多く出演しています。オープニングのクレジットで色んな名前を見るたびに「おお、こんな人も出てたのかー」といちいち驚いてました。
他にも、小池朝雄(コロンボの声優)や千葉真一、田中邦衛など名だたる俳優さんも出演してるので、本当に豪華な映画だなぁと思います。しかもみんな若い、当然なんですけどもねw
ただ困るのが同じ役者さんが別のシリーズで別の役で出ることが多いんです。「広島死闘編」で主人公を演じた北大路欣也はラストで自ら命を絶つのですが、「完結編」では重要なポジションを別の役で演じてたりします。あれ、死んだんじゃなかったっけ?って思っちゃいました。
さらに川谷拓三は5シリーズ全てに、全て別の役で出てるという。続けて観てると本当に混乱しますw
この5シリーズはフィクションとは言え実話を元にしているので、この頃の広島や呉は本当に大変な時だったんだなと、改めて怖さを感じさせられました。いま同じことが起こったとしたらどうなるんだろうと。
続いて分類2つ目は次の3シリーズ
新仁義なき戦い
新仁義なき戦い 組長の首
新仁義なき戦い 組長最後の日
『新仁義なき戦い』(しんじんぎなきたたかい)は1974年(昭和49年)12月28日に東映で公開された日本映画。「仁義なき戦いシリーズ」の番外編「新仁義なき戦いシリーズ」第一弾。
引用元: 新仁義なき戦い – Wikipedia
Wikipediaには番外編として書かれていますが、番外編とはいえ、監督・深作欣二、主演・菅原文太という組み合わせなので雰囲気はほとんど変わらず。
「新仁義なき戦い」はシリーズ1作目「仁義なき戦い」のリメイク版。内容はほとんど変わらないのですが、役名が変わってしまってて混乱の度合いがグンとあがります。
主人公は菅原文太演じる広能省三、ではなく三好万亀夫と役名が変わっています。
しかし1作目の親分を演じた金子信雄の役名は「山守義雄」と変わっていないのがより混乱を招いてしまいます。
続く新シリーズの2作目の「組長の首」も深作・菅原コンビなのですが、舞台が広島から北九州に移り、飯干晃一の原作からも離れてしまいます。本当の新シリーズと言えるでしょうかね。
親分に黄門様でおなじみの西村晃が出ていて、声だけを聞くとまさに水戸黄門。菅原文太演じる黒田修次、その子分に小林稔侍が出演しています。
他にも渡瀬恒彦や八名信夫など名優さんがこれまた多く出ています。中でも山崎努の演技がとてもかっこ良く、いまあの年齢で出ていたらイケメン俳優とかで持て囃されてるんじゃないかと思います。
そういえば全シリーズ出続けている川谷拓三は刑事役として出ていました。
そして新シリーズ最後の「組長最後の日」も舞台は北九州ですが、前作とつながりがある作品ではありません。相変わらず主演は菅原文太なんですが、前作とつながりがないので役名がなかなか覚えられませんでした。
ここから観続けるのにちょっと疲れてしまい、内容は余り覚えていませんw
この作品で菅原文太の主演が終わりになるためか、それともこれでシリーズを最後にするためか意図はわからないのですが、一番最後で不死身の菅原文太が病院の前で、警察にかこまれていながらも刺客に刺されるシーンがありました。
このシーンでこのシリーズを最後にしたんだなぁと感じました。
新シリーズはリメイクだったり舞台が変わったり、内容が単品作品だったりと方向性がイマイチ見えませんでしたが、それでも深作・菅原コンビの安定感はありました。それは次の作品を観てより感じました。
続いて分類3つ目は「その後の仁義なき戦い」1作のみ。
これはWikipediaにも情報がない、言ってみればマイナー作品にあたると思います。
舞台は新シリーズと同じく北九州。主演は根津甚八、共演に松崎しげるや宇崎竜童らがいます。これまでのシリーズの出演者といえば小池朝雄や松方弘樹くらいしか思い出せません。
「仁義なき戦い」と銘打ってはいるけれど、やくざ映画というよりも青春映画のほうが近いです。
松崎しげるがやくざを辞めて歌手になる件は、失礼ながら笑ってしまいましたw
テーマ曲も緊張感溢れたあのテーマではなく日本語ブルースがそこかしこで流れてくるので、仁義なき戦いの雰囲気を期待していると「これじゃない」感が強いです。全て観ようと観始めたために惰性で観ましたが、わたしには物足りない無いようでした。
そして分類4つ目は、2000年と2003年に上映された「新・仁義なき戦い」シリーズ。
「新・仁義なき戦い」
「新・仁義なき戦い 謀殺」
こちらも「新」シリーズにあたるのでしょうが、前回の新シリーズと明確に分けるためか「新」のあとに「・」が入っています。1作目「新・仁義なき戦い」は出演もしてる布袋寅泰のテーマ曲が有名ですね。KILL BILLやトランスフォーマーなどのハリウッド映画にも使われています。
布袋さんの演技はお世辞にも上手とは言えないけれど味ある演技をしてるとおもいます。内容はこれまでのシリーズを踏襲した後目争いがメインで、布袋さんがそれに巻き込まれてしまう内容。
やくざ映画ではおなじみの哀川翔がやくざではない役で出ていたのがなんだか新鮮でした。
テーマ曲ばかり有名になってましたが、内容はイマイチ感が強かったです。
そして最後の「謀殺」は高橋克典演じる経済やくざと渡辺謙演じる武闘派やくざのせめぎ合い。やはり内容は後目争いがメインになっています。
親分役に「組長の首」に出てた小林稔侍が演じています。この親分が最初にシリーズの親分だった金子信雄と同じくらいイライラさせられる役で、観ていて懐かしさを感じました。インターバルは1ヶ月くらいですけどw
一番新しいシリーズだったためか血なまぐさいシーンはこれまでで一番エグかったです。特に町中で謙さんが襲われるシーンは恐怖を感じてしまいました。他にも字で書き起こすのも躊躇うほどエグいシーンが多くて、所々目を覆っておりました。
テーマ曲などは東京スカパラダイスオーケストラが担当しているのですが、予想していたよりも雰囲気が良くて安心して聴けました。
ということで全11作品を一気に観た感想は、「やっぱり最初が一番面白いね」ですw
最初の作品は後先を考えていない映画だからか、色んな要素がぎゅっと詰まっている気がします。続編とは言え最初の5作品は全てが繋がっている、言ってみれば「仁義なき戦いサーガ」な訳ですから観ていて引き込まれる度合いも強いです。
願わくば別作品で同じ役者さんが別役で出るのさえ無ければ完璧なんだがなぁと思うくらいで、私に言われるまでもなく後は非の打ち所が無いです。
もう一度観たいのはやっぱり最初のシリーズかなぁ。