TMさんの新譜「QUIT30」が出て1週間、ひと通り通して聴いてみて色々と感じたので書き残しておこうと思います。
2枚組のアルバムではありますが、QUIT30のタイトルアルバムは1枚だけ。もう一枚はCAROLの新録がメインのボーナスCDのようです。通常版も1枚のみのようですし。
その1枚目は1988年にリリースされたCAROLと近い作りになっています。タイトルの前に[QUIT30]と付いている曲と、そうでない曲がハッキリと分かれており、[QUIT30]の曲は物語を辿るようにひと続きになっています(チャプターは分かれていますが)
さて[QUIT30]と分かれている曲は、CAROLの時のように1曲の粒がしっかりしたものではなく、どちらかというとMajor Turn-Round組曲のようなプログレッシブ・ロックに近いです。その為か1曲1曲のインパクトは弱い気がしたのが正直なところです。
[QUIT30]組曲は前半と後半に分かれていてその前後半を挟むように単独曲が全部で8曲あります。しかしそのうち4曲は、2枚のシングルからの曲なので真っ当な新曲は4曲のみなのでちょっと寂しいです。
[QUIT30]の曲の幾つかは、近年のTMには珍しく生ドラムやベースが入っています。しかし生演奏を入れている割りには音に厚みがなく、どちらかというとスカスカな痩せた音。とくに顕著なのが4曲目の「The Beginning Of The End」です。この曲は3連符と16ビートが絡む複雑なノリなんですが、肝心のドラムスの低音域が余り聴こえず、他の音も低音や中音を抜いているのかスカスカ。逆にベースだけ低音域が出ているので、曲のまとまりとしてバランスが悪く感じます。なんというか、聴いていると不安になるくらい安定感が希薄。
アルバムクレジットを見てみたんですが、主にミックスをしてるのがTK時代からよく見かけるDave Fordという方のようです。このDave Frodという人が誰なのかさっぱり分からないんですが、一つ言えるのはこの人のミックスは私の好みでないということ。
4つ打ちの曲であろうが何だろうが、キックの大事な低音域(周波数まではわかりませんが)を抜きたがるようで、EQでローを切った様なコシのないアタックだけのキックが一つの特徴な気がします。
1曲目の「Alive」もDave Fordのミックスのようですが、例に漏れずキックの音が弱い。
また低音域抜けだけでなく、他の音も敢えてなのか音が痩せて聴こえます。
他の曲もピアノの音やスネアの音の抜けが悪かったりすることもしばしば。もしかしたら小室さんが好んでる音なのかもしれませんが、ライブ時の音はしっかり出ているので、おそらくミックスによる効果なのだと思います。
一度アナライズしてみようかなぁ。
逆にDave Fordがミックスしていない曲は音がしっかりしています。2曲目の「I am」は1曲目のあとに続くためか冒頭から違いがわかるほど。シングルで出たときに聴いた時、ドラムが生音だとしばらく思った程でした。コーラスワークもしっかりしていますし、ミックスが変わったアルバムバージョンを最初に聴いた時は思わず「おおー」なんて声が漏れたくらい。
また「LOUD」のカップリング曲「ある日ある時いつか何処かで」はシングル版とは全然違うミックスになっていて、アルバムの中でスキな曲になりました。そして唯一の木根さんの曲「STORY」も素晴らしく良い。
これらは全てDave Fordのミックスではありませんでした。
ということで、Dave Ford某がミックスしていなければ(私がスキな)違ったアルバムになっていたのかなぁと。電気とAphexTwinを聴いた後だったので、際立って感じた次第です。
そうそう、まったく手付かずだったThe Beginning Of The EndのBlu-rayをようやく観ました。まだ最後まで観れていないですが、前作より良かった。